カセレスは、スペイン西部エストレマドゥーラ州カセレス県の県都で人口約9万6千人。
カセレス一帯では、先史時代から人の住んだ形跡があり、旧石器時代、青銅器時代の遺跡、遺物などが見つかっている。古代ローマ植民地時代には、ルシタニアと呼ばれる一帯の中心地及び銀の道の要衝となった。5世紀頃には西ゴート族がローマ人を駆逐、以降8,9世紀頃までその名が歴史に登場することはなかった。のちイスラム教徒が到着、対キリスト教徒の軍事拠点となる。12世紀には要塞化されたが、13世紀にはキリスト教徒の前に降伏。主に北部からの移民を入植させ街を再興、領主不在の自由都市となる。しかしながら権力者同士の衝突が絶えず、15世紀末には事態の解決に乗り出したカトリック女王イサベルにより王家直轄地となった。街のキリスト教化が進められ、新大陸からもたらされる富を活用して教会や宮殿が建てられ、メスキータやアラブ風の邸宅は姿を消していった。
その後19世紀にはリン鉱山の労働者の流入や鉄道の敷設により発展拡大する。スペイン内戦ではフランコ率いる反乱軍につき、マドリッド侵攻の拠点となった。現在は観光と建設業を主な産業として発展している。
交通
マドリッドから急行列車で約4時間、高速バスで約3時間弱。
気候
大陸性気候だが、比較的太平洋に近いため寒暖差はそれ程大きくない。夏は暑く冬は温暖。
みどころ
・旧市街(世界遺産)
カセレスの旧市街は中世からルネサンス期にかけて発展した当時そのままの姿で保存されている。城壁内と城壁外があるが、主に旧市街と呼ばれるのは城壁内の一帯である。塔と城壁に守られ教会や宮殿邸宅群が建ち並ぶ街並みは、まるで中世に迷い込んだかのような錯覚を起こさせてくれる。
・サンタ・マリア大聖堂
13世紀のムデハル様式の建物を礎として、14世紀から15世紀にかけ建造された。ゴシック様式の要素のあるロマネスク様式の建築物。ルネサンス様式の塔がある。
・マヨール広場
城壁に隣接する街の中心。16世紀当時のアーケードが残っており、建物も数世紀を経たものがほとんどだが、多くは19世紀以降かなりの改修が加えられている。
グルメ
アラブ、ユダヤ文化えの影響も見られる変化に富む食文化を有する。
牧畜業が盛んなことから素朴な料理が多いが、修道院の伝統的な料理法が一般に広まったため、ジビエや菓子類のレシピも豊富である。
名物料理は、チャンファイナという臓物等の煮込みや、フリテというラム肉とジャガイモのシチューなど。カセレス県独特のトルタ・デ・カサルというチーズは、クリーム状で独特の風味がありやみつきになる。またエストゥレマドゥーラといえばイベリコ豚の名産地。生ハムや腸詰類は国内でも最高品質を誇っている。
ショッピング
サン・ペドロ通り、ピントーレス通り、サン・フアン広場やマヨール広場界隈には土産物店をはじめ各種ショップが集中している。旧市街にごく近いので観光を兼ねてショッピングが楽しめる。
エンターテインメント
毎年5月にWOMAD(World of dance, Arts & Music)というワールドミュージックフェスティバル、6月にはスペイン黄金時代の作品を上演する古典劇フェスティバルが開催される。