サラゴサ Zaragoza

サラゴサはアラゴン州サラゴサ県の県都で人口約68万人。エブロ川沿いにあり、マドリッドとバルセロナを繋ぐ交通の要衝である。
サラゴサの名前は、古代ローマ植民地時代の都市名「カエサラウグスタ(カエサルアウグスト)」が時代を経て変形したものとされる。
紀元前7世紀頃より定住地があったことが確認されている。古代ローマの植民地時代を経て、西ゴート王国の主要都市のひとつとなり、8世紀にイスラム勢力の支配下に入ってからは、サラゴサ王国が建国され、12世紀にはヨーロッパ有数の大都市へと発展した。レコンキスタによりキリスト教徒支配下へ復帰してからはアラゴン王国の首都に制定される。
19世紀のスペイン独立戦争では、ナポレオン軍に二度に渡って包囲され激しく抵抗。対ナポレオンのシンボルとして名を馳せる一方、多くの犠牲者を出し、人口が著しく減少した。このときのサラゴサ市民の功績を称え、街には「非常に高貴、忠実、英雄的、博愛的にして、常に英雄的そして不滅」との称号が贈られた。

交通
マドリッド、バルセロナ間の新幹線AVEの途中駅。
サラゴサ空港の交通量は少なく、国内・欧州のいくつかの都市とのみつながっている。

気候
大陸性地中海気候。冬は寒く、12月から1月にかけては霜と霧がよく発生する。夏は最高気温が35度から40度と高い。一年を通じて乾燥し、少ない雨は春に集中している。

みどころ
・ヌエストラ・セニョーラ・デル・ピラール大聖堂

キリスト教世界において初めて聖母マリアに捧げられた聖堂とされている。
言い伝えによれば、紀元40年、イベリア半島に伝道に訪れていた聖ヤコブの前に聖母マリアが出現、その証拠として碧玉の柱(ピラール)を遺した。ヤコブは住民の力を借りてエブロ川の岸近くに干しレンガで小さな聖堂を建て聖母マリアを奉ったという。
実際には紀元3世紀頃からその存在が記されている資料がある。古代ローマ植民地時代、西ゴート時代、イスラム支配時代を生き延び、川の増水、火災による被害を受けつつも修復と増築を繰り返した。18世紀にはバロック様式で再建築がなされ現在に至る。

・ラ・セオまたはサルバドール大聖堂(世界遺産)

イスラム教支配時代のメスキータの跡地に建てられた。12世紀にロマネスク様式で建設が始まり、のちゴシック、ムデハル、ルネサンス、バロック様式で多くの改修が施され現在の姿となった。
中でもムデハル様式の部分が重要視され世界遺産に登録された。

・アルハフェリア宮殿(世界遺産)

11世紀サラゴサ王国の時代に王の居城として建造された。
レコンキスタ後は教会や王の居住箇所が増改築されたが、宮殿の大部分は保存された。
16世紀末には要塞化され、後に軍の拠点となった。
現存するタイファ(イスラム教諸王国)時代の建築物として非常に重要であり、コルドバのメスキータ、グラナダのアルハンブラ宮殿と並び、イベリア半島におけるイスラム文化の頂点を極める芸術作品である。

グルメ
サラゴサを含むアラゴン地方は、良質の野菜、及びテルナスコと呼ばれるラム肉の産地として知られる。名物料理は鶏肉をトマトやピーマンなどと煮込んだ鶏肉のチリンドロン煮や、干し鱈のアホアリエロ風、テルナスコのローストなど。

ショッピング
ピラール大聖堂に近いアルフォンソ地区、アルハフェリア宮殿周辺のアルモサラ地区、アルフォンソ地区と川を挟んだアラバル地区などに各種ショップが集中している。

エンターテインメント
毎年10月12日には、街の守護聖人「柱上の聖母(マリア・デル・ピラール」を奉る祭りが行われる。
またサラゴサのイースターは、期間中50もの聖人の御輿が出され、吹奏楽隊の演奏と相まって大変華やかで賑やかなことで知られ、国の旅行文化財にも指定されている。
スペイン各地でホタと呼ばれる民俗舞曲が伝えられているが、中でもサラゴサを含むアラゴン地方のものは有名。3拍子のリズムで、ギターやカスタネットで伴奏する。舞踊は高く足を上げるステップと回転に特徴がある。