サンタンデールはカンタブリア州の州都で人口約17万7千人。
古代ローマ植民地時代には港を活用した鉱山業や商業活動が盛んであったことが遺物などから判っている。またバイキングやゲルマン民族による略奪の被害が繰り返されていたようである。9世紀に殉教者のサン・エメテリオとサン・セレドニオを奉るロス・クエルポス・サントス修道院が建てられ、12世紀末にはカスティーリャ王アルフォンソ八世がサン・エメテリオの修道院長を市長に任命、漁業、商業と海運業を保護する特令を市に与える。13世紀中頃にはセビーリャ奪回の戦いに参加、その功績を称えられ紋章を授けられる。このことから、サンタンデール市の紋章にはセビーリャの黄金の塔とグアダルキビル川があしらわれている。14世紀以降は軍港としても活躍したが、15世紀末にはペストが蔓延、人口が激減する。被害は壊滅的で、その後街の復興には3世紀を要した。
18,19世紀には植民地を相手とした海運業で潤い、富裕層が生まれ街の整備が進んだ。19世紀末にダイナマイト等を積んだ船が爆発、1,000人以上の死傷者を出し、港近くの区画が破壊される。20世紀半ばには2日に渡る大火災が発生、中世の街並みが破壊されてしまう。火災後は区画整備と拡張が行われ、現在の姿となった。
サンタンデールの近くには、アルタミラ洞窟があることで知られ、またスペインで一番美しい村と呼ばれるサンティリャーナ・デル・マルや、ガウディ作のエル・カプリチョ邸があるコミーリャスなどがある。
交通
マドリッドから特急で約4時間30分程。
サンタンデール空港には、国内線及び欧州主要都市からの国際線が乗り入れしている。
気候
海洋性湿潤気候。年間を通じて湿度が高く、気温は温暖である。
みどころ
・ラ・マグダレーナ宮殿
ラ・マグダレーナ半島にある宮殿。サンタンデール市役所が20世紀初頭にスペイン王室のために建設、寄贈した。現在は大学の校舎に利用されている。ラ・マグダレーナ半島からは、紀元1世紀頃の古代ローマの遺物が出土している。
・エル・サルディネロ
ラ・マグダレーナ半島の北東側にある海岸沿いの地域。19世紀にサンタンデールが富裕層の避暑地となってから観光客が訪れるようになった。当時の別荘が点在し、サルディネロ(いわし)ビーチ、カメヨ(らくだ)ビーチがあり、現在も夏は海水浴客で賑わう。
グルメ
カンタブリア海に面した立地から鮮度の高い海産物が豊富に獲れる。名物料理は、ソロポトゥンというカツオ、ジャガイモと赤ピーマンのペーストを煮込んだシチューや、ラバと呼ぶイカのフリッターなど。またカンタブリア地方では牧牛が盛んで、チーズなどの乳製品とそれを利用したデザート、菓子などもよく作られる。チーズプリンや、ソバオと呼ばれるバターをたっぷり使ったカステラなどが美味である。
ショッピング
サンタンデール駅から数ブロック北側にあるヘスス・デ・モナステリオ通りからサン・フェルナンド通り界隈が市内中心街のショッピングゾーン。
エンターテインメント
フェスティバル・デル・マルFestival del Mar という4,5年に一度、夏に催される祭りがある。港町にふさわしく、昔の帆船やヨットなどが世界中から集まる海の祭りである。