サンティアゴ・デ・コンポステラヘ導かれる路は、“ヨーロッパ最初の教養的な旅路”と位置づけられている。 それは中世ヨーロッパの多様な民族に共通のアイデンティティを与え、文化教養の概念やその意味を広く浸透させるという役割を果たしてきた。
【参考情報】サンティアゴ・デ・コンポステーラ観光局
北部スペインが扉となり世界中からの巡礼旅行者を迎えた、初めての輝かしい路となったのである。 つまり、キリストの12使徒の一人である聖ヤコブ(ヤコブのスペイン名がサンティアゴ〉に対する崇拝の心から人々はサンティアゴ巡礼にかきたてられていった。
当時のヨーロッパ・キリスト教世界では千年紀の終末思想にもおおわれており、それが巡礼ブームにさらなる拍車をかけていた。 こうして巡礼の旅をした人々はそのルートの中で、地元の人たちの温かいもてなしや、さまざまな文化、イベントを経験していったのである。
サンティアコ巡礼路の本ルートでよく知られているのが、「フランスの道」。 このルートにはピレネー越えのソンボルトとロンセスバイェスからの2つがあり、プエンテ・ラ・レイナで1本に合流する。
ここから路はナバラとラ・リオハを通り.サン・ミヤン・デ・ラ・コゴーヤ、サント・ドミンゴ・デ・ラ・カルサダを経由してブルゴスヘ入る。 この町にはスペインで最も美しいゴシック建築といわれるカテドラルやウエルガス修道院などがある。
さらに巡礼路は、ロマネスク様式の遺跡が遣る田園地帯を進み、レオンヘと到着する。 レオンにも、美しいステンドグラスで有名なカテドラル、ロマネスク時代のフレスコ画が見事なサン・イシドロ教会、現在はパラドールになっている旧サン・マルコス修道院など、見所が豊富である。
【参考情報】
レオン市観光局
ガウディ博物館 カサ・ボティネス(レオン)
カスティーリャ・イ・レオン州観光局
巡礼の旅はこの後、アストルガ、ビエルソの丘陵地帯を通過して、セブレイロヘ。 この地には、荘厳なサンタ・マリア・ラ・レアル教会があり、聖晩餐の奇跡が起こったことで人気のある巡礼地となっている。
ここからサンティアゴ郊外のラバコーヤ、モンテ・デル・ゴソに到るまでの沿道には数々の美しい修道院プレ・ロマネスクおよびロマネスク様式の教会、そしてかつて巡礼者たちが一夜の宿とした旅篭などが点在している。
ここまで来れば、サンティアゴ大聖堂の前にひれ伏すまで後わずかなのである。 使徒の町サンティアゴ・デ・コンポステラは、瀟洒で見所の多い町。 まずは通り、広場、隠れた横丁などを歩いて、この町自体の魅力に触れてみて欲しい。
そして定評あるガリシア料理に舌鼓を打ち、有名な全細工、銀細工、ハンドクラフトなどのショッピングをお楽しみいただきたい。
町の守護聖人サンティアゴを祝う祭りは、7月24・25日に行われる、また、北部のバスク、カンタブリア、アストウリアスを辿る海沿いの巡礼路「北の道」も、もうひとつの興味深いルート。 それぞれの地方の遺跡には、素晴らしい見るべきものがある
またポルトガルから橋をわたって国境を越え、ガリシアのリアス式海岸を北上する「ポルトガルの道」や、海路でフェロルまたはア・コルーニャに上陸し、サンティアゴ・デ・コンポステーラに向かう「イギリスの道」なども、ガリシアを満喫できるお勧めルートだ。
【参考情報】アロウサ・ノルテ観光局