サン・セバスティアン(ドノスティア)San Sebastian

サン・セバスティアンはバスク地方ギプスコア県の県都で人口約18万人。コンチャ湾の景観に映える優雅な街並みは「カンタブリア海の真珠」の呼び名に恥じない美しさである。
サン・セバスティアンはスペイン語名で、バスク語では、「ドノスティア」または「ドノスティ」と呼ばれる。いずれも当地にあった修道院ゆかりの聖人サン・セバスティアンに由来している。
12世紀後半に修道院もよりの村として栄え始める。
中世には、商業・軍事拠点として重要な地位を占める都市に成長、幾度かの戦災や火災からの復活を遂げ更に発展していった。
19世紀末に王家の避暑地となり豪奢な建物や街路の整備が進んだことが、現在のサン・セバスティアンの街並みの美しさの元となっている。

交通
サン・セバスティアンの空港は、約22km離れたオンダリビアにあり、マドリッドとバルセロナから直行便が飛んでいる。またマドリッドとバルセロナとは特急列車でも結ばれている。

気候
海洋性気候。気温は比較的温暖で、一年を通じて雨が多く特に秋に集中している。

みどころ
・旧市街(パルテ・ビエハ)

コンチャ湾、モンテ・ウルグル、ウルメア川に囲まれた旧市街は、サン・セバスティアンで最も活気溢れる地区で、様々なショップやバルが所狭しと並んでいる。
ここではぜひバル巡りをして、当地名物のピンチョスを味わってみたい。
サン・ビセンテ教会、サンタ・マリア教会、サン・テルモ博物館などもある。

・モンテ・イゲルド

コンチャ湾の西端にある丘陵地帯。小さな遊園地や展望台などがある。ここからのサン・セバスティアンの眺めは一見に値する。

・モンテ・ウルグル

コンチャ湾の東端にある小山で現在は公園となっている。古くは要衝の地で、城壁跡や砲台が残されている。

グルメ
豊かな食文化で知られるバスク地方だが、なかでもサン・セバスティアンは美食の都として名高い。
ピンチョスはバゲットの輪切りに肉、魚介類、チーズなどをのせたおつまみ。近年は様々なバリエーションがある。旧市街には、そんな趣向を凝らした自慢のピンチョスをカウンターに所狭しと並べたバルが沢山軒を連ねている。
小都市ながら、スペインではミシュランの3星レストランが一番多い都市でもある。
アルザック、アケラーレ、マルティン・ベラサテギは毎年3星を獲得するレストラン。いずれも人気が高く、事前予約の必要あり。
海に面した街らしく、魚介類の料理が名物。クモガニのオーブン焼きや、メルルーサのアゴ肉のグリーンソースなど。
バスク地方ではワインの生産も盛んで、チャコリと呼ばれる白ワイン、リオハ・アラベサと呼ばれるアラバ県産のリオハワインも有名。またアストゥリアス地方と並んでシードル(りんご酒)もよく飲まれる。バスク式は、蛇口の付いた大樽から勢いよくグラスに注いで発泡させて飲む。

ショッピング
ほとんどのショップは、モンテ・ウルグル山のふもと、パルテ・ビエハと呼ばれる旧市街の一帯にある。同じくパルテ・ビエハには、市場とショッピングセンターを兼ねたラ・ブレチャという総合施設もある。

エンターテインメント
1月20日のサン・セバスティアンの日には、タンボラーダが祝われる。タンボラーダは、軍服、コックの衣装、水売り女の衣装を着た鼓隊が練り歩く一風変わった祭り。コックの衣装、というのがいかにも美食の都サン・セバスティアンらしい。
7月にはコンサート数が100に上るという大規模なジャズ・フェスティバルが開催。
9月にはサン・セバスティアン映画祭が開かれる。海外・国内より有名監督・俳優が参加するスペインでは最大規模の映画祭である。