バルセロナ Barcelona

地中海に面して広がるコスモポリタンな港湾都市。人口は約160万人とスペインでは首都マドリッドに続いて大規模な都市である。
古代より交易により栄えてきた。12世紀からアラゴン連合王国の一部となり、その後16世紀にアラゴンとカスティーリャが統一されたことでスペインに併合される。
17,18世紀には戦乱により一時荒廃したが、19世紀の産業革命以降再び栄え始める。都市拡大のため中世の城壁などの取り壊しを行い、碁盤の目状に区画を整備して現在の姿へと発展していった。
この19世紀以降の経済活性化と都市開発のお陰で、ガウディを初めとするカタルーニャ人建築家の手によるバルセロナ特有の建築物群が生まれることになる。
また旧市街は保存されたため、ゴシック地区などに細い道の入り組んだ昔のバルセロナの面影を偲ぶことができる。
近年はクルーズ船も多く寄航し、観光都市としても更に繁栄しつつある。

交通
サンツ駅にはマドリッドからのAVEや、バレンシア・アリカンテからのEUROMEDが乗り入れている。
エル・プラット空港はマドリッドのバラハス空港に次いでフライト数・利用者数の多い空港で国内外のフライトが多く発着する。バルセロナ市内までは近郊線と空港バスで結ばれておりタクシーも多く常駐している。

気候
地中海性気候。冬は湿度及び温度が比較的高め。夏は乾燥するが地形・立地的条件により他の地中海沿岸部に比べると湿度は高めである。

みどころ
・サグラダ・ファミリア教会(世界遺産)

言わずと知れたガウディの代表作。完成まであと数十年~百年以上と言われる。
近年は以前と比べ建設のスピードが上がり着々と完成に向かっているので、訪れる度に姿を変える教会を見ることができる。

・カサ・ミラとカサ・バトリョ(世界遺産)

カサ・ミラとカサ・バトリョはグラシア通りに面しており、もちろん両方ともガウディの作品ではあるが、それぞれ独特の雰囲気をもつ。
カサ・ミラは、別名「ラ・ペドレラ(石切場)」が示す通り、白大理石の石切り場を思わせる外観であるが、かといって直線的ではなく、うねるような曲線が織り成す美しい造形の建物である。
一方カサ・バトリョは、バルセロナの守護聖人サン・ジョルディの竜退治をモチーフとしたとも、海の洞窟をイメージしたとも言われ、青を基調とした色とりどりのタイルやステンドグラス、また骨を思わせる石柱や骸骨のようなバルコニーが繊細かつ幻想的である。

・カタルーニャ音楽堂とサン・パウ病院(世界遺産)及びその他モデルニスモの建築物群

ドメネク・イ・ムンタネー作のカタルーニャ音楽堂やサン・パウ病院などが有名。他にも市内至るところにモデルニスモ様式の建物が残されている。

・グエル公園(世界遺産)

ガウディ代表作の一つ。当初は分譲住宅地として計画されていたが、のち市に寄付されて公園となった。バルセロナが一望できる。

・ピカソ美術館

「青の時代」など若い頃の作品や、ラス・メニーナスをモチーフとした連作などが有名。
ピカソは画学生の頃バルセロナに2年程住んだことがある。

・ゴシック地区、ランブラス通り、カタルーニャ広場

ランブラス通りは港からカタルーニャ広場へと通じるバルセロナを代表するメインストリート。
リセウ大劇場やバルセロナの台所と呼ばれるサン・ジョセップ市場があり、また中央の歩道には花屋が立ち並び、大道芸人も集まってくる活気ある通りである。
ゴシック地区はランブラス通りの西側に広がる古い地区で、サンタ・エウラリア大聖堂をはじめ中世の建物が多く保存されている。
カタルーニャ広場はランブラス通りとグラシア通りの間、街の中心にある大きな広場で空港バスなども発着する交通網の中心地点でもある。

・グラシア通り

カサ・ミラやカサ・バトリョに代表されるモデルニスムの建物が点在する大通り。
ブランドショップなども多いバルセロナ一のショッピングゾーンである。

・臨海地区(ポルト・ベル、ラ・バルセロネタ、ポート・オリンピック、エル・ボルン地区)

ポルト・ベルはバルセロナ港最も古い部分で、コロンの塔、海洋博物館、水族館などがある。
ラ・バルセロネタは海に突き出した三角形の地区で、海岸沿いにはレストランが多く立ち並んでいる。ポート・オリンピックは92年バルセロナ五輪の際建設された。マリーナなどがある。
エル・ボルン地区はライエタナ通りとラ・バルセロネタの間にある古い地区で、最近は個性的なショップやレストラン、バルがあることで人気を集めている。

・モンジュイックの丘

1992年オリンピックの際に各種施設が建設され、現在も残っている。
カタルーニャを代表する画家の一人ジョアン・ミロの作品を数多く収蔵するミロ美術館がある。

グルメ
トーストにトマトをすりつけてオリーブオイルをたらしたパン・トゥマカ、ナスと赤ピーマンをローストしてあえたエスカリバーダ、干し鱈のサラダ・エスケシャーダ、パスタで作るパエーリャのフィデウア、白ソーセージのブティファラ、魚介のブイヤベースであるスケットやサルスエラ、クレーム・ブリュレに似たクレマ・カタラナなどが有名。冬には直火で豪快に長ネギを丸ごとローストするカルソッツが楽しめる。
近年はフェラン・アドリアをはじめとした世界的に有名なシェフを多く輩出。スペインではバスク地方と並んで料理のメッカとして知られている。

ショッピング
グラシア通りにはブランドショップが並んでいる。カタルーニャ広場にはエル・コルテ・イングレスやショッピングセンターがある。

エンターテインメント
カタルーニャ音楽堂やリセウ大劇場ではオペラやコンサートが楽しめる。
バルセロナにはFCバルセロナとRCDエスパニョールの二つのサッカーチームがあり、ホームゲームの際は試合観戦が楽しめる。