ガリシア州の州都サンティアゴ・デ・コンポステラは、人口約9万5千人。
エルサレム、バチカンと並びキリスト教三大聖地のひとつであり、そしてサンティアゴ巡礼道の終着地点である。
サンティアゴの歴史は先史時代に遡る。古代ローマ時代に植民地化したが、5世紀頃放棄される。
その後スエビ族の侵入やアストゥリアス王国の支配などを経る。9世紀に入り聖ヤコブのものとされる墓が発見されると、聖堂が建てられ、聖ヤコブを祭る聖職者が住むようになる。次第に市民が定住、巡礼者が訪れるようになり、聖地として発展していった。
10世紀にはヨーロッパ中から巡礼者が訪れるようになり、それに伴って道路や橋、宿泊所などが整備され巡礼道が形成されていった。こうして、聖ヤコブの墓の発見はサンティアゴだけでなく巡礼道沿いの地域の発展にも大きく貢献した。
交通
サンティアゴ空港には、国内線及び欧州主要都市からの国際線が乗り入れしている。
マドリッドとは特急及び寝台列車で結ばれている。
気候
海洋性湿潤気候。夏は涼しく冬は比較的暖かい。雨が多く、特に冬に集中している。
9世紀に聖ヤコブを祭る聖堂と教会が建てられたが、10世紀末のイスラム教徒の侵攻により焼失。
その後11世紀後半にロマネスク様式で再建が始まり、その後数世紀に渡り様々な様式で手が加えられ、現在の姿となった。聖ヤコブとその二人の弟子が祭られている。
大聖堂の正面玄関に面した広場でサンティアゴの街の中心である。
「オブラドイロ」とは、ガリシア語で「職人」の意味。大聖堂の建設の際石切職人がここで働いていたことに由来する。
・王立病院兼宿泊所(パラドール・サンティアゴ)
大聖堂と同じくオブラドイロ広場の一角を担う大きな建物。
巡礼者のための病院及び宿泊施設として、カトリック両王の命により建てられた。
現在はパラドールとして利用されている。
・旧市街(世界遺産)
雨が降ってこそ美しいと云われる歴史ある石造りの街並み。
キンタナ広場、プラテリア広場、バルやレストランがずらっと並ぶフランコ通りや、お店やカフェなどが立ち並ぶヴィラール通り、ノヴァ通りなどを散歩しながらお気に入りのスポットを見つけるのも楽しい。
・アラメダ公園
公園内のエラドゥーラ通りはサンティアゴ旧市街を一望できる絶景ポイント。
グルメ
海に面したガリシアはスペイン一の海産物の産地。また農産業も盛んで、チーズ、牛肉、ジャガイモなどが名産品である。
前菜はカルド・ガジェーゴ(ガリシア風スープ)やエンパナーダ(ガリシア風パイ)などが定番。
カルド・ガジェーゴは、塩漬け肉やグレロスと呼ばれる葉野菜、ジャガイモ、白いんげんなどを煮込んだスープ。エンパナーダは詰め物をした薄いパンのようなもの。中身は干し鱈や、カツオ、サンブリーニャと呼ばれる貝などが多い。
タルタ・デ・サンティアゴはアーモンドプードルを多く使いしっとりとした生地に仕上げた素朴なケーキ。
ショッピング
旧市街のどこを散策しても色々なお店に巡りあえるが、特にノヴァ通り、ヴィラール通り、サン・ペドロ通り界隈にはショップやカフェなどが多い。
またアバスト市場では地元産の新鮮な野菜・魚介類に目が奪われる。
エンターテインメント
大聖堂でミサの後に行われる「ボタフメイロ」は圧巻。天井から吊り下がる大きな銀の香炉はそれだけで60キロ超、それに石炭と香料を入れると100キロを超える。その香炉を数人がかりで振り子のように揺らすこの行事は、本来長旅をしてきた巡礼者のにおいを和らげる目的で行われてきた。
現在はミサの最後に行われるが、見たい場合は大聖堂に要確認。
※あくまでも宗教行事なので、見学の際にはミサの邪魔とならないよう注意。