セゴビアはカスティーリャ・イ・レオン州セゴビア県の県都で人口約5万4千人。
ケルト・イベリア族、古代ローマ植民地、西ゴート族の支配を経て、イスラム教徒の侵入により荒廃。トレド王国の崩壊によりイスラム教徒が駆逐された後11世紀後半に復興。復興後は数度の住民の反乱により混迷の時期を迎える一方、羊毛産業の中心地として栄える。中世後期にはユダヤ人社会が中心となって織物産業を盛上げ最盛期を迎える。カスティーリャ王国の宮廷が置かれた時期もあり、またカトリック女王イサベルはここセゴビアのサン・ミゲル教会で戴冠した。その後衰退し、近代には織物産業の再興を図るが成果が得られなかった。19世紀初頭のスペイン独立戦争ではフランス軍の略奪を受ける。19世紀後半から20世紀にかけ都市経済が復調すると人口も回復。現在は食品など各種製造業が盛んであるが、最重要産業は観光業である。
交通
マドリードから特急で約30分、直行バスで約1時間30分。
気候
大陸性地中海性気候。標高が高く中央山系に近い立地から冬は寒い。夏は暑く、またメセタの中では年間を通じて比較的湿潤である。
みどころ
・旧市街(世界遺産)
二つの川に挟まれ、城壁にぐるりと囲まれた斜面に広がる旧市街には、アルカサルや大聖堂をはじめ数々の重要歴史建築物がある。トレド同様、様々な文化民族の影響を受けてきたが、イスラム教徒の時代には荒廃したためイスラム文化の影響は少ない。逆にユダヤ人社会が栄えたので、文化習慣にはその名残がみられ、ユダヤ人街や建築物も保存されている。
・アルカサル
文献により12世紀には要塞として存在、アルカサルと呼ばれ始めたことが分かっているが、古代ローマ植民地時代の遺構なども発見されており、起源は更に古いものと推測される。13世紀カスティーリャ王アルフォンソ十世の時代に一度崩落し、以降フェリペ二世の代に渡るまで幾度となく改修増築を繰り返す。19世紀には火災により内部が焼失したが、火災以前の姿に忠実に再建された。ディズニー映画「白雪姫」のお城のモデルとなったことで有名だが、断崖にくっきりと浮かび上がる優雅な姿は、まさにお伽の世界にふさわしい美しさである。
・水道橋(世界遺産)
突出した保存状態の良さで知られるこの水道橋は、イベリア半島における最も重要なローマ遺跡である。建造は紀元前1世紀または2世紀とされる。2万5千個の切石が170個のアーチを形成し、全長818メートル、高さ29メートルのその姿は圧巻の一言に尽きる。
・サンタ・マリア大聖堂
元来はアルカサルに隣接していたが、16世紀前半に戦争により破壊され、その後18世紀までかけ再建された。後期ゴシック様式だがルネッサンス様式の影響も見られる。スペインにおける最後のゴシック建築とされる。
グルメ
セゴビアと言えば仔豚の丸焼きが有名で専門のレストランも多いが、仔羊のローストもよく食される。もう一つ名物と言えばポンチェ・セゴビアーノだが、これはシロップを含ませたスポンジケーキとカスタードクリームを重ねマジパンで覆った甘みの強いケーキである。またセゴビア近くのラ・グランハはフディオン(大粒の白いんげん豆)の産地。フディオンは腸詰などと一緒に煮込んで供される。
ショッピング
旧市街のフアン・ブラボ通り界隈及び水道橋に通じるフェルナンデス・ラドレダ通りに各種ショップが集中しており、観光がてらショッピングが楽しめる。
エンターテインメント
毎年5月に「ティティリメンディTitirimendi」という操り人形の国際フェスティバルが行われる。15世紀から続くといわれるサン・フアンとサン・ペドロの祭りは6月末、セゴビアの守護聖女フエンシスラのマリア祭は9月25日、守護聖人サン・フルートス祭は10月25日にそれぞれ行われる。