トレド Toledo

トレドはカスティーリャ・ラ・マンチャ州の州都で人口約8万3千人。マドリッドから南西に約70kmに位置する。
その歴史は古く青銅器時代にまで遡る。ケルト・イベリア系のカルペタニ族、古代ローマ支配の下に発展し、のち西ゴート王国の首都となる。8世紀にイスラム教徒の手に渡ってからはトレド王国の首都として栄えたが、11世紀末にレコンキスタによりカスティーリャ王国の一部となる。カトリック両王の時代になり街は整備拡大される。
古くから武器などの金属加工業が盛んで、今でもトレド産の包丁やナイフには定評がある。
スペイン国王及び神聖ローマ帝国皇帝カルロス1世の宮廷が主にトレドに置かれていたことから「帝国の都」、またイスラム文化、キリスト文化、ユダヤ文化が交錯する文化の都として数世紀に渡り栄えたため「三文化の都」とも呼ばれる。
タホ川と城壁にぐるりと囲まれた丘に広がる旧市街は世界遺産。トレドを訪れるときには、ぜひ郊外からトレド旧市街の全景を眺めたい。

交通
マドリッドから特急AVANTで約30分、直行バスで約1時間。

気候
大陸性地中海性気候。比較的乾燥が強く、少ない雨は晩秋と春に集中する。冬は寒く夏は暑い。

みどころ
・旧市街(世界遺産)
二千年に渡る街の歴史が色濃く残る旧市街は、石畳の街路が入り組んで迷路のようでもある。タホ川の対岸から眺める旧市街の全景はまさに一見に値する。

・サンタ・マリア大聖堂(世界遺産)
スペインの首座(トレド大司教座)の置かれる大聖堂。スペインにおけるゴシック建築の傑作のひとつ。13世紀から15世紀にかけ建造が行われたため、2世紀に渡るゴシック建築の変化を体現している。またスペイン独特のムデハル様式の影響も多く見られる。

・サント・トメ教会
教会は12世紀頃より存在したが、現存する教会の建物は14世紀にムデハル様式で再建されたもの。トレドで活躍したギリシャ出身の画家エル・グレコの傑作「オルガス伯の埋葬」を収蔵することで知られる。

・トランシト・シナゴーグ
トレドにはシナゴーグが数多く存在したが、15世紀末のユダヤ人追放以降は減少の一途をたどり、現存するのは、このトランシト・シナゴーグと、サンタ・マリア・ラ・ブランカ・シナゴーグだけとなってしまった。14世紀建造で、内部のムデハル様式の装飾の素晴らしさは、セビーリャのアルカサルのそれと並び称される。

・サンタ・クルス博物館
14世紀建造の旧病院をを利用し19世紀に博物館とした。美術、装飾芸術の作品や、考古学関連の出土品等を収蔵。コレクションにはエル・グレコの作品群も含まれる。

・サン・フアン・デ・ロス・レジェス修道院
イサベル女王の命により15世紀に建てられたフランシスコ会修道院。後のスペイン統一に決定打をもたらしたトロでの戦勝を祝い、また王室霊廟の建設を目的として造られた。

・タベラ病院
別名サン・フアン・バウティスタ病院。16世紀から17世紀初頭にかけ建造されたルネッサンス様式の病院。現在は一部博物館となっている。旧市街の外、ビサグラ門近くにある。

グルメ
名物料理は、うずらの煮込み、カルカムサと呼ばれる牛肉と野菜の煮込みなど。またマジパンをベースとした焼き菓子のマサパンはトレドのものが最高とされている。
トレド地方は、マンチェゴチーズや、サフランの産地としても有名。最近はオリーブオイルの生産でも知られるようになってきている。

ショッピング
町の伝統工芸である金属加工を生かした包丁やナイフ、ダマスキナードと呼ばれる金銀の象嵌細工を施した装飾品類や、マサパンなどが名産品。
旧市街には土産品店や専門店が軒を連ねているので、観光を楽しみつつショッピングもできる。また旧市街にある修道院の中には、昔ながらの製法で作られたマサパン等の菓子を直売しているところもある。

エンターテインメント
イースター期間中には様々な神輿行列が練り歩くだけでなく、普段一般公開されていない修道院の教会などが扉を開ける。トレドで一番重要な祭りは毎年6月に行われる聖体祭。旧市街は祭りを楽しむ地元の人々と観光客で埋め尽くされ、大いに賑わう。