マドリード Madrid

マドリッドはスペインの首都及び政治・経済・文化の中心。
近年、現代的なヨーロッパ都市へと変貌を遂げてきたが、旧市街の石畳にはいまだに昔の人々の生活の足跡が刻まれ、当時の面影を偲ぶことができる。
イベリア半島のほぼ真ん中、メセタと呼ばれる中央台地の中心部に位置しており、人口約320万人。

マドリッドは9世紀にイスラム教徒がマンサナーレス川のほとりに砦を築いたのがその起源とされる。「マドリッド」の名前の発祥には諸説あるが、アラビア語の「アル・マジュリート(水の源)」に由来するとする説、同じくアラビア語の「マヘリット(砦)」に由来するとする説などで、いずれにしてもアラビア語起源であることに間違いはないようである。

その後レコンキスタ(国土再征服運動)により11世紀にキリスト教徒が砦を奪回。
スペインの黄金時代最盛期にあたる16世紀にフェリペ2世が宮廷をマドリッドへと遷し、首都となる。「オーストリア家(ハプスブルク家のこと)のマドリッド」と呼ばれる地区はフェリペ2世以降のスペイン・ハプスブルク王朝の時代に築かれた、旧市街で最も歴史ある一角である。
18世紀にはカステリャーナ通り、プラド通りなどが、19世紀にはプエルタ・デル・ソル広場が、20世紀にはグラン・ヴィア通りが造られ、中心街はほぼ現在の姿となった。

交通
マドリッド・バラハス国際空港には国内・国際線が多く乗り入れている。空港と市内を結ぶ地下鉄・空港バスなどの交通網も発達。タクシーも待たずに乗れる。数年後には電車が乗り入れて、チャマルティン駅、アトーチャ駅と直接に結ばれる予定。
スペインの鉄道網、主要幹線道路はマドリッドから放射状に各地に伸びているため、マドリッドを起点として旅行すると便利である。新幹線AVEも全線マドリッドが発着点。

気候
地中海性気候だが内陸のため昼夜の寒暖差が大きい。夏場は暑いが、湿度が低いため比較的しのぎやすい暑さである。

みどころ
・プラド美術館

ルーブル美術館、エルミタージュ美術館と並ぶヨーロッパ三大美術館の一つ。
スペイン王家歴代のコレクションが元となった収蔵作品は2万点を超える。

・レイナ・ソフィア芸術センター

ピカソの「ゲルニカ」を所蔵することで知られる近現代アートの美術館。

・ティッセン・ボルネミッサ美術館

ティッセン・ボルミネッサ男爵家のコレクションを展示。
中世から近現代に渡る1,000点近い作品からヨーロッパ美術の流れを追うことができる。

・王宮

18世紀にアルカサルが焼失した後、スペイン・ブルボン王朝初代国王のフェリペ5世の命により建造。バロック様式の壮麗な宮殿で重要な芸術作品も多く収蔵。

・プエルタ・デル・ソル広場

「太陽の門」という意味を持つマドリッド中心にある広場。近年は近郊線の乗り入れなどにより様変わりしてきた。スペインでは毎年大晦日のカウントダウンがここで行われ、各局が一斉に中継、12回の鐘にあわせブドウを12粒食べるのが習慣。

・マヨール広場

昔は市場が開かれる活気のある広場であった。16世紀から17世紀にかけ建設されたものの18世紀に大規模火災により焼失。その後再建されて現在の姿となった。
何度も名前が変わっており、「マヨール」広場と呼ばれるようになったのは20世紀になってからである。

・レティーロ公園

マドリードで一番大きな公園。沢山の木々、池、噴水や散歩道などが118㎡の広大な敷地に広がり、市民に憩いの場所を提供している。
今でこそ中心街にあるが、17世紀に王室の離宮と庭園として整えられた頃には郊外の静かな一角だった。19世紀から徐々に市民に開放されていき、今では全区域が公園となった。

グルメ
ヒヨコ豆と肉類を煮込んだコシードはスペイン各地で食べられるが、マドリッド風コシードは中でも名物として知られている。カリョス(牛モツの煮込み)、イカのフリッターをバゲットに挟んだボカディージョ・デ・カラマーレスなどもバルの定番。
マドリッドには2万軒以上のバルがある。マドリッドに来たら絶対バル巡りは外せない。

ショッピング
サラマンカ地区にあるセラーノ通り、オルテガ・イ・ガセット通りには国内外のブランドショップが並ぶ。デパートチェーンのエル・コルテ・イングレスにも色々なブランドショップが参入しており、最近は免税手続などのサービスにも力を入れている。またほとんどのエル・コルテ・イングレスは地下にスーパーがあるので食料品の買い物などにも便利。
プエルタ・デル・ソル広場、マヨール広場、グラン・ヴィア界隈には土産物屋も多い。

エンターテインメント
マドリッドのタブラオには一流のダンサーとミュージシャンが多く出演するので、本場アンダルシアと並んで、マドリッドでのフラメンコ鑑賞はおすすめである。
ラス・ベンタス闘牛場では、毎年3月から10月まで毎週末とお祭りの際に闘牛が行われる。
毎週末に闘牛が開催されるのはスペインでもマドリッドだけで、その他の都市ではお祭りなどイベントがあるときに限られる。
マドリッドにはレアル・マドリッドとアトレティコ・デ・マドリッドの二つのサッカーチームがあり、ホームゲームの際は試合観戦が楽しめる。